2009年6月 3日

払拭

大フィルメンバーによる室内楽コンサートに師匠が出演されることを知り、行ってきました近鉄八尾へ。距離は大したことないんですけど、接続が悪くてちょっと難儀なとこなんですよね。今回のプログラムはフルートがメインということで、フルートの高音がイマイチ得意ではない私としては少々躊躇していたのですが、いやあ行って良かったです。

【プログラム】
モーツァルト:フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285
ベートーヴェン:フルート、ヴァイオリンとヴィオラのためのセレナードニ長調 Op.25
(休憩)
ルーセル:フルート、ヴィオラとチェロのための三重奏曲 Op.40
モーツァルト:フルート四重奏曲第3番ハ長調K.Anh.171(285b) 

一曲目は超有名曲ですが、室内楽コンサートの一曲目というのはどうしても楽器を鳴らすためだったり、ハーモニーのバランスを取るのだったりに時間が必要ですから、聴衆サイドも準備運動的な心持ちで・・・ひたすら師匠のボーイングを凝視しておりました。

二曲目は、あらまチェロのない曲でしたか。弦楽器のハモらせ方が上手いですねえ。初期のベートーヴェンは面白い箇所もあるんですが、総じてやはりちょいと退屈でしたので軽く睡眠をとってしまいました。すいません。

休憩を挟んで三曲目ルーセルさんは木管アンサンブルではしばしば名前を目にしたことがある作曲家さんですが、弦楽器混じりの演奏を真面目に聴くのは初めてです。ちょっと印象派的な色彩を感じさせる音が流れたかと思うと、ショスタコーヴィチっぽい無機質メロディーがあったりとで、いうなれば多国籍音楽といったところでしょうか。技巧的にもえらいこと難しそうでしたし、総じてライヴ向きだなぁという印象。

奏者の皆さん(というか師匠)の気合の入り方が1曲目とはケタ違いなのが伝わってきて面白かったです。チェロというのは割合鳴らしやすい楽器なのですが、ゴウゴウ鳴らしゃいいってもんではなく、かといってトリオなんかは特に楽器のぶつかり合いでもありますから、そこで腰が引けていては曲にならない。その辺りの線の引き方がプロの勘所なんでしょうけど、師匠は相変わらず品のある鳴らし方をされてました。美しいメロディーも派手になり過ぎないながらも華やかな音でね。そんな多彩なメリハリがカッコ良いなあと惚れ惚れしてしまいましたわ。

本日の主賓でもあるフルートの野津さん、大フィルでは榎田さんに隠れがちな印象がなくもないのですが、改めてこうして聴かせていただくと、なかなか渋くて良い音だなーとフルートそのものに対する印象も若干変わりました。今回は曲と曲の間でのお話も担当されていたのですが、これがまた好感を持てる内容だったのも大きかったですね。調性の表す重要性なんてのは、これまであんまり意識したことがなかったので新鮮でした。

ヴァイオリンとビオラのお二人は初めてお見かけしたのですが、両氏とも丁寧かつ淡々と折り目正しい演奏をなさる方ですね。カルテットでのメインはあくまでフルートですから高音楽器は多少控えめにされていたようにもお見受けしましたが、ぜひ弦楽四重奏曲での演奏を聴いてみたいものですね。

てなところで、最後に全員が揃ってのモーツァルト3番はカルテットとしてのハーモニーとバランスがよく取れていて聴き応えがありました。曲としても1番より好きだなー。実は1番の演奏後、野津さんの「モーツァルトはフルートが嫌いだったらしい・・・」という説明に、そうだろうなあなんて内心思ってたんですが、3番を聴いてみると、「・・・と言われてますが、それは手紙の中だけでの方便で、こんな素晴らしい曲を書くのだから、本当は違っていたのだと僕らフルート吹きは思ってます」という説明にも納得が行ったのでした。

アンコールは「川の流れのように」
意図はよくわかるのですが、このプログラムに対する選曲としてはちょっと合わない感じ。編曲が微妙だったこともありますけどね。

終演後は出演者の皆さんと交流会なんてなアナウンスがあったのですが、お客さんのほとんどが地元の方たちのようでしたし、時間もお天気も不安でしたので、さっさか帰宅させていただきました。

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