2009年11月22日

ざばざば

雨降りの夕方、師匠の出演されるコンサートへ行ってきました。途中駅で行楽客とおぼしき人々がどっと乗り込み、まぁそれは予想範囲内なんですが、皆さん揃いも揃ってぬくぬくと重装備。そんなに寒いですかね、ここは。

駅地図に惑わされながら(北が下向いてるんだもん!)何とか会場に辿り着きました。やれやれ。

〇林泉弦楽四重奏団演奏会@日本福音ルーテル西宮教会

・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第3番
・ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番「クロイツェルソナタ」
・ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番

どれもこれも聴き応えのある曲ばかりでしたが、目新しさという点ではやはりヤナーチェクが面白かったですね。昔聴いた2番の「ないしょの手紙」はイマイチ耳残りしなかったもので、いい印象がなかったんですけど、このクロイツェルは元ネタとなっている肝心のベートーヴェンのVnソナタもトルストイの原作もあまり知らなかったにも関わらず、司会の上村先生の前説効果もあり、退屈することなく集中して聴くことが出来ました。これだけテーマをしっかりと音楽に刻み込めるなんて、作曲者も演奏者も凄いなぁ。

ベートーヴェンの4番はいわゆるハ短調モノとあって、ピアノソナタの「悲愴」を思わせるような重苦しさで始まりましたが、中盤からは重厚な和音がほとばしる様に「おぉ〜っ!」と聞きほれておりました。
もっともこちらは(終演後)師匠曰く「もう少し力を抜いて1stを浮き立たせたかった」とのことで、確かに林泉さんの音を際立たせるには軽めに弾いてもらった方が、キラキラした音色が映えて良かったのかもしれないけれど、こういう力技の演奏もこれはこれでアリだと思いましたけどね。プロの視点は怖いっす。

一緒に聴きに行ったオケの人たちと師匠とで美味しい点心を食べて帰宅。駅近にこんな店があるなんて。今度また行こうっと。

*****
読了本

・滝田務雄「田舎の刑事の闘病記」(東京創元社)

田舎の刑事シリーズ第ニ弾。
期待が大きすぎたかなあ。第一弾に比べると衝撃も物足りず、お決まりの問答も若干マンネリか。とはいえ普通に楽しくは読めましたよ。主人公・黒川刑事の足を引っ張りまくる問題児白石さんと黒川妻が事件解決のキーになるくだりは上手いフォローですね。
次回作は長編だそうで、大丈夫かしらと心配しつつも、この作者さんだったら何らかの捻りを展開してくれることでしょう。楽しみにしてます。

 

2009年11月20日

減衰

いつも以上に楽器を重たく感じながら練習場へ。今日からは「第九」練習です。
たいていオケに行くときは調子がイマイチでも、弾いているうちに好転することが多いんですが、この曲だけは・・・弾くほどにぐんなりげんなり。どうにも上がって来ません。実際、「第九」の後にブラームスの練習をしたら見違えるように元気になりましたからね。やっぱり相性が悪いということなのか。

弦楽器の中ではチェロはけっこう多いし、周りには嬉々として弾く第九マニアがたくさん居るので降り番とかダメかなあとか、まぁ言うだけムダですし、こんなことをプロの人の前で言うと「俺ら何回弾いてると思ってるねん!」と怒られるので言いませんけど、溜め息の連続です・・・。

楽しく弾く秘訣ってあるんでしょうかね。

 

2009年11月13日

誠意

今年は金曜日の降雨率が高いのか、楽器を運ぶだけでも面倒なのに、これに傘が加わると、荷物は増えるわ自転車にも乗れないわで悪いことづくし。こうして皆さん車を購入されるのですね。

さて、本日は本番指揮者さんとの初合わせ。練習前の楽器運びで思わぬ汗をかいてしまい、予想通りトップ横の席で弾く羽目になったにもかかわらず、イマイチ乗り切れないままに1曲目が終わってしまいました。2曲目ようやく少しずつマシになってきたところで休憩となり、先生と目が合いました。「久しぶりだねえ、Nekoさん」・・・うわぁ、覚えてもらえてる。

実は今回の指揮者さんはその昔、大学オケ最後の定演で振ってもらい、それはそれはお世話になった方なのです。あのとき先生が真剣に仰った「みんな社会人になっても絶対に音楽を続けてほしい」という言葉が無ければ、なんだかんだ言ってこうして楽器を弾き続けていたかどうかも分かりませんし、そのほかにも音楽をやる上で先生から学んだことはたくさんあり、恩人の一人といっても過言ではないのです。しかし、まさか10年以上も経って覚えていて下さるとは。

音楽を全力で楽しむ姿勢はまるで変わらず、ブルックナー愛にあふれたブルックナー6番の練習は特に面白かったです。ブルックナーは「転調」で常に聴衆を感動させることができる作曲家なのだそうで、そこをいかに聴かせるかが一つのポイントとなるのだとか。今回の演奏会はこのブルックナーがイヤで休団した人も居るそうですが、こんな練習を味わえないなんて、やっぱり食わず嫌いは勿体無いなあ。

練習後は先生との飲みに参加。先生のすぐ近くの席が空いており、トップさんを差し置いてどうかとは思ったのですが、どうせ私は終電も早めですし、他にもトップじゃない人がいましたので、まあいいかとあつかましく着席し、楽しんでまいりました。

・・・がんばろう。

 

2009年10月29日

生カルミナ

大フィル10月定期を聴きに行ってきました。チケットは売り切れとのことだったのですが、親切な師匠に手配いただきまして、いつもいつもありがとうございます。

お目当てはハイドンのチェロ協奏曲第1番(独奏:ピーター・ヴィスペスウェイ)。実は10年ほど前にヴィスペルウェイさんの演奏は生で聴いたことがあるのですが、その時はバロック楽器だったので(プログラムはバッハの無伴奏とシューベルトのアルペジオーネでしたかね)、モダン楽器での演奏を聴くのは初めてです。

いやー、巧かったですねえ。演奏はほぼピリオド奏法だったのですが、その解釈とカデンツァはむしろ前衛的ですらあり、なんだか超絶技巧ハイドンって感じでした。オーバーアクションや弾きながらオケに指示しちゃったりするエンターテイナーっぷりもひとつの魅力なんでしょう。

ただ引っかかったのは、巧さが手練れのように見えるときがあったこと。そのためか、結果的には演奏後に残る余韻が少なかったんですよね。隣のブルジョワ婦人たちのおしゃべり(演奏中ずっと!)にイライラしていたせいかもしれませんが、うーん、私の耳は悪い批評家みたくなっちゃってるんでしょうか。ちょっと自己嫌悪。アンコールはバッハの無伴奏でした。

ちなみにこちらのヴィスペルウェイさんはウィリアム・プリースさんにも師事されていたようで、師匠とは遠く兄弟弟子の関係に当たるんですが(そういえば、かのジャクリーヌ・デュプレもです)、いやぁ皆さん全く違いますね。んでから私は師匠の演奏の方が好きですよ。って、そういうことは直接言えよって話ですね。

オケは悪くはなかったんですが、ソロがわりとアグレッシブで鋭い音だったこともあり、高弦が若干ぼんやりして実音が聴こえづらかったのはちょっと気になりました。2階席だから響きしかやって来ないのかなぁとも思ったのですが、一概にそういうわけでもなかったようで・・・。そうそう、指揮の大植さんは衣装のツヤ感が黒ラブラドールみたいでしたよ!

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休憩中、近くの紳士にうるさいと怒られるブルジョワ婦人'sを横目に、コンサート二曲目は何だっけなとプログラムを開いてみれば「カルミナ・ブラーナ」とありまして、あーそうか、満員観客さんたちのお目当てはむしろこっちだったのか。プログラムから目を上げると、驚くべき光景が待ち受けておりました。

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フルコン二台がど真ん中です。ピアノ近くで弾く弦楽器奏者さんたちにとっては(うるさくて)たまらんでしょうけど、見てる方にとっては、なんつか戦隊配置みたいでカッコいいです。や、実際とてもカッコ良かったです。視覚効果に弱いのか、私。普段は絶対にやらないんですが、ちょっとだけ撮影させていただきました。これぐらいなら大丈夫ですよね?

演奏はそれなり面白かったですよ。長い長い曲でオケも大変そうでしたが、歌のソリストさんたちが良かったので何とか持ち堪えました。声は最高の楽器なんてよく言いますけど、どうやったらあんな声が出るのか?とか、どうやってそのフレーズ感を構築できるものなのか!?とか、いろんな驚きがあり、おこがましくも(自分の)演奏の参考になりそうな気がしました。

終演後、師匠と他のお弟子さんたちとのゴハンにお邪魔させていただいたのち帰宅。

 

2009年9月17日

はずれあたり

昨夜23時も過ぎた頃になってケータイにメールが入り、見ればチェロの師匠からです。何ごとかと見れば「明日のコンサート、招待券を窓口預かりにしておくから」とのこと。確かにお願いしてはいましたが、あれは2週間前のこと・・・てっきり忘れたのであろうと思い込んでました。ま、特に予定もありませんでしたから、ありがたく行かせていただいたのですが。

〇大阪フィルハーモニー交響楽団 第431回定期演奏会

・スーク/組曲「おとぎ話」
・アルチュニアン/トランペット協奏曲
・ドヴォルザーク/交響曲第7番

総じて印象に残らないコンサートでした。
オープニングで爆睡してしまったのは睡眠不足続きだった私の責任だとして、2曲目もトランペットが上手いことは分かりましたが、それだけというか。そしてなによりメインのドヴォルザークにいたっては消化不良の感ありあり。ドヴォルザークの命ともいえるリズムの軸足がどうにも定まらず、指揮者さんがどういう曲にしたいのかも今ひとつ伝わらないままテンポはどんどん上がり、怒涛のように終わっちゃいました。指揮者の責任なのかオケの責任なのか、たぶん両方なんでしょうけど、大フィルはここ最近ずいぶん弦楽器が良くなったと感じていただけに、オケとしてもっと深く作りこんだ演奏を聴きたかったですね。実はこの7番、大学オケで交響曲デビューを果たした曲なんで、思い入れが強いんです。

終演後はチケットを頂いたことだしと、ゆるゆる楽屋口へ。ほとんどの楽団員さんたちが退出され、トランペットさんのサイン会が始まったあたりになって、ようやく師匠の姿が見えました。ほんとにいつもなぜこんなに遅いのでしょう。謎です。帰りは師匠の車に同乗させていただいたのですが、発進するなり「さあ聞こう。どうだった?」うわ、いきなりですか。回転の遅いアタマと貧弱な語彙と振り回しながら「・・・あっという間に終わっちゃいましたねぇ」

なんでも7番を演奏するのは10年以上ぶりなのだそうで、師匠もお好きな曲なのだとのこと。ま、チェロ弾きでこの曲をキライな人はなかなか居ないでしょうが、ダメ出しやら何やらを好き勝手に喋っているうち駅に到着。〇〇先生からもらったという外国産ビールをお裾分けしていただいて帰ってきました(私は手ぶらだったのに)。

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携帯プレイヤーにつけているイヤホンの断線っぷりが酷くなってきたので、新しいイヤホンをネットで物色。ウン万もするようなものは対象外だとしても、コレで音楽を聴く時間が一番長いわけですし、弦楽器の音はそこそこキレイに聴こえるものの方がいいよなーと、数々のレビューを読み悩みながら、結局は今も使用しているDENON製をポチッ。ただ少しランクは上げたので、悪くなることはないでしょう。

 

2009年9月13日

省みる

コンサートそのものは大きな事故もなく無事終了。チケットのばら撒き他でホールが満員どころかパンクしちゃうかもという危惧があったのですが、なんとか定員内でおさまったようです。個人的には本番前に頼まれごとをしていたのに、行き違いや情報伝達不足でお役に立てず、大いに悔いが残ることとなりました...すみません。

演奏の方はといいますと、今回のプログラムはWシンフォニーということもあり、特にエネルギー配分には気を配っていたのですが、本番で要するエネルギーって練習時とは明らかに違うんですよね。「運命」が終わった時点で予想以上に体力を消耗してしまい、ブラームスの一楽章はしばらく惰性で弾いてしまいました。3楽章あたりでは弾きながら他のことを考えちゃってましたし、集中力の欠如もいいとこです。自分の力を最大限に発揮できる状態を作らないとなあ。これまた反省。

オケ全体としては、しっかりした組織運営や立派なホールなどといった見た目の派手さに演奏がまだまだついていってないなあという感じ。特に低弦は完全にヴァイオリンの足を引っ張っている状態ですから、これは次回までに真剣にどーにかしなければ。

打ち上げ二次会で某ベース氏と大喧嘩。演奏会まではなんとか我慢してきましたが、確信犯的に爆発そして予想通りお互いエスカレート。尊敬している別ベース様に仲裁されて矛を収めましたが、私もこれだけ大口を叩けばそのまま自分に返ってくるわけですからね、これくらい自分を追い込んどきゃ少しばかり気合入れて練習できるってなもんですよ。へへっ。

意識こまぎれになりながら、なんとか帰宅。いろいろヤバかったです。やっぱホテル取っときゃ良かった...。

 

2009年9月 6日

がまん

朝から晩までオケの練習にて缶詰。
まっすぐ帰宅するにはあまりに悶々とした気持ちが山積していたため、某中華料理屋にて特大の担担麺を平らげながら、ぶつぶつと愚痴をこぼし、今後の展望を語りあい。どうなるやらなあ。

帰りの電車でスコアを手に練習録音を聴きながら、いろいろチェック。弾いている最中にもっと気付けばいいんですが、あいにくと私は聖徳太子ではないどころか、自分だけで手一杯ですからね。録音や録画はこういう人間にとっては必須の武器です。
ただ、もうちょっと使い勝手の良い録音機器が...いやいやいやいや。

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2009年6月26日

行ったり来たり

寝不足というほどではないはずなのに眠くてたまらず、そしてそういう日に限って電車でも座れず。仕方がないので、あまり気が乗らないままに手持ちの本を読み始めたんですが、これがえらいこと面白い。眠るどころではなくなりました。

・広瀬正「マイナス・ゼロ」集英社文庫

昭和初期と戦後をタイムマシンで行き来するお話。タイムマシンに限らず時代・時空移動の小説はいくつもあるはずですが、純日本文学では意外と少ないのではないでしょうか。この作品は著者自身が生きた時代を描写されておられるだけに、その空気感がホンモノで、なんとも・・・いいです。
主人公が過去の世界でタイムマシンとはぐれてしまったところで駅に到着。ああ残念。

*****

上司も退社しましたし、さて我らも急がねばと、後輩と「いずみホール」へ。
一緒に遊ぶはおろか、飲んだことすらない(しかも口数がめっぽう少ない)後輩ちゃんですが、大昔にチェロを習っていたことがあるそうで、また習いたいという話を聞いてましたので、最初に誘うコンサートとしては室内楽はどうかとも思ったんですが、どうせ行くならやっぱり超一流に越したことはないですし、今ならボーナス後でお金がないってこともないでしょうからね。

〇タカーチ弦楽四重奏団コンサート
・ハイドン:「弦楽四重奏曲第82番ヘ長調 作品77-2」<雲がゆくまで待とう>
・バルトーク:「弦楽四重奏曲第2番 作品17」
(休憩)
・モーツァルト:弦楽四重奏曲第21番「プロシア王 第1番」

ロビーでウィーン音楽祭OSAKAのチケットを売っているのを見つけ、ピエール=ロラン・エマールのチケットを購入。ただでさえ気になっていたピアニストなのに、ドビュッシーのベルガマスク組曲にショパンのスケルツォを生で聴けるなんて、楽しみだなあ〜。ホクホクしてましたら後輩ちゃんに「即買いですね」と笑われました。

今回はギリギリで買った割にはセンター2列目という良席。これなら万が一1曲目が微妙でも楽しめるはず・・・なんて思ってたんですが、なんのことはなく、最初っからタカーチさんは全開でした。ああこの柔らかいベルベット・トーン。懐かしいなあ。暑苦しく主張する楽器など皆無のこの響き。いきなり涙出させんといてくださいよ。それにしてもハイドンにこんな良い曲があったなんて。や、多作な方ですから知らない曲がほとんどなんですが、これはぜひともCDを入手しなければ。
前に座った紳士が妙な頭の動きをしては私の視界を邪魔しまくることだけが残念でしたが、まあこれはどうしようもないですね。じっとしてろ!

2曲目のバルトークはただでさえ技巧的に難しそうなのに、このゆらめくような楕円のリズム。合わせるのも至難の業でしょうねえ。ときどきウワッと思うほど美しいメロディが飛び出してくる曲ですが、3楽章でついコックリ。

休憩を挟んでの3曲目モーツァルトはプロシア王1番、わりとソリスティックな曲ということもあってか、緊張感をはらんだ演奏でした。どんなに細かい音でもあの柔らかさが崩れないのは企業秘密なんでしょうけど、何か分からんものかなあと動きを凝視していて気付いたこと。全員左手の動きが物凄く柔らかいですね。普通に考えて柔らかさに直結しているのは右手(=弓)のはずですけど、あの左手の動きはよく見ると物凄く異様でしたよ。
あと、このカルテットって1stVnよりも2ndVnの方が上手ですね。おそらく性格的なことやなんかで、若い方の人が1stを務めておられ、実際それで上手く行ってるからいいんですが、そういうパターンもあるんだなあと。

アンコールは緊張の糸がほぐれ、堰を切ったように始まった「ラズモフスキー第3番」の4楽章。およそアンコールで弾くような曲ではないですが、モーツァルトを聴きながら「この人たちのベートーヴェンを聴きたいなあ」と思ってたところでしたんで、バッチリすぎるタイミングでした。カルテットの面々があまりに楽しそうに弾いてる姿に、音がピシピシとハマリ合いまくる愉快さに、思わず笑っちゃいました。こんなコンサートひさしぶりだー。後輩ちゃんも喜んでくれたようでなによりです。

駅で別れた後なんとなく飲み直したくなり、ふらりと天満へ。
その後何が起きたのかは・・・また来週。

 

2009年6月 9日

エンドレス

ネットニュースを見ていましたら、訃報欄に小山清茂さんのお名前が。まだご存命だったということに驚いたのはどうやら私だけではなかったようですが、失礼をお詫びすると同時にご冥福をお祈りいたします。

先日のコンサートでは、その小山さんの曲を演奏したのですが、早速そのコンサートDVDをご送付いただきましたので(感謝!)夕食後ひとしきり鑑賞させていただきました。

引きの映像が多かったためか、あまりヤバいシーンは見受けられず、全体の出来は予想よりもまあまあ良かっただけに、なおさら自分の練習不足が悔やまれるところとなりましたが、それよりもあらためて思い知らされたのは自分の姿勢悪さですね。隣がデカイお兄ちゃんだったこともありますが、そういう問題ではもちろんなくって、これまた前々から気になっていたのですが、もしかすると良くないのは背筋の伸ばし方というよりも首の据え方なんじゃないか、という気がしてきました(大元は繋がっているわけですが)。鏡というよりも、一度ビデオに撮って観たほうがいいのかもしれませんなあ。

*****

今更ながらにドラマ「きらきらひかる」のダビング作業なんぞを。
オンエア当時はあまり真剣に見てなくって、数年後レンタルビデオ屋で気まぐれに借りたらハマっちゃいまして、毎晩徹夜覚悟で見続けたんですが、今にして思えば脚本も私の好きな井上さんで、このキャスト。そりゃハマりますわなあ。これをDVD化する前にプロデューサーの山口さんがフジを辞めちゃったのが返す返すも残念でなりません。事こうなると、NG集もちょっとした価値ですな。

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脚本も「きらきら」

 

2009年6月 3日

払拭

大フィルメンバーによる室内楽コンサートに師匠が出演されることを知り、行ってきました近鉄八尾へ。距離は大したことないんですけど、接続が悪くてちょっと難儀なとこなんですよね。今回のプログラムはフルートがメインということで、フルートの高音がイマイチ得意ではない私としては少々躊躇していたのですが、いやあ行って良かったです。

【プログラム】
モーツァルト:フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285
ベートーヴェン:フルート、ヴァイオリンとヴィオラのためのセレナードニ長調 Op.25
(休憩)
ルーセル:フルート、ヴィオラとチェロのための三重奏曲 Op.40
モーツァルト:フルート四重奏曲第3番ハ長調K.Anh.171(285b) 

一曲目は超有名曲ですが、室内楽コンサートの一曲目というのはどうしても楽器を鳴らすためだったり、ハーモニーのバランスを取るのだったりに時間が必要ですから、聴衆サイドも準備運動的な心持ちで・・・ひたすら師匠のボーイングを凝視しておりました。

二曲目は、あらまチェロのない曲でしたか。弦楽器のハモらせ方が上手いですねえ。初期のベートーヴェンは面白い箇所もあるんですが、総じてやはりちょいと退屈でしたので軽く睡眠をとってしまいました。すいません。

休憩を挟んで三曲目ルーセルさんは木管アンサンブルではしばしば名前を目にしたことがある作曲家さんですが、弦楽器混じりの演奏を真面目に聴くのは初めてです。ちょっと印象派的な色彩を感じさせる音が流れたかと思うと、ショスタコーヴィチっぽい無機質メロディーがあったりとで、いうなれば多国籍音楽といったところでしょうか。技巧的にもえらいこと難しそうでしたし、総じてライヴ向きだなぁという印象。

奏者の皆さん(というか師匠)の気合の入り方が1曲目とはケタ違いなのが伝わってきて面白かったです。チェロというのは割合鳴らしやすい楽器なのですが、ゴウゴウ鳴らしゃいいってもんではなく、かといってトリオなんかは特に楽器のぶつかり合いでもありますから、そこで腰が引けていては曲にならない。その辺りの線の引き方がプロの勘所なんでしょうけど、師匠は相変わらず品のある鳴らし方をされてました。美しいメロディーも派手になり過ぎないながらも華やかな音でね。そんな多彩なメリハリがカッコ良いなあと惚れ惚れしてしまいましたわ。

本日の主賓でもあるフルートの野津さん、大フィルでは榎田さんに隠れがちな印象がなくもないのですが、改めてこうして聴かせていただくと、なかなか渋くて良い音だなーとフルートそのものに対する印象も若干変わりました。今回は曲と曲の間でのお話も担当されていたのですが、これがまた好感を持てる内容だったのも大きかったですね。調性の表す重要性なんてのは、これまであんまり意識したことがなかったので新鮮でした。

ヴァイオリンとビオラのお二人は初めてお見かけしたのですが、両氏とも丁寧かつ淡々と折り目正しい演奏をなさる方ですね。カルテットでのメインはあくまでフルートですから高音楽器は多少控えめにされていたようにもお見受けしましたが、ぜひ弦楽四重奏曲での演奏を聴いてみたいものですね。

てなところで、最後に全員が揃ってのモーツァルト3番はカルテットとしてのハーモニーとバランスがよく取れていて聴き応えがありました。曲としても1番より好きだなー。実は1番の演奏後、野津さんの「モーツァルトはフルートが嫌いだったらしい・・・」という説明に、そうだろうなあなんて内心思ってたんですが、3番を聴いてみると、「・・・と言われてますが、それは手紙の中だけでの方便で、こんな素晴らしい曲を書くのだから、本当は違っていたのだと僕らフルート吹きは思ってます」という説明にも納得が行ったのでした。

アンコールは「川の流れのように」
意図はよくわかるのですが、このプログラムに対する選曲としてはちょっと合わない感じ。編曲が微妙だったこともありますけどね。

終演後は出演者の皆さんと交流会なんてなアナウンスがあったのですが、お客さんのほとんどが地元の方たちのようでしたし、時間もお天気も不安でしたので、さっさか帰宅させていただきました。

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