2010年6月 5日

曖昧な境界

練習後、森ノ宮ピロティホールに立ち寄り、久しぶりに観劇して帰りました。

まったく予習せずに臨んだ「裏切りの街」、三浦さんの作演出は初めてでしたけど、自然体というか、ドラマに見せない演じ方という手法はなかなか興味深いものでした。個人的にはもう少し言葉を信用してもいいんじゃないかという気もしましたけど、「逃げ続ける」というテーマが極めて面白く、カーテンコール後の峯田さん(銀杏BOYS)ミニライブも良かったので、総じて満足。世界は取り返しのつかないことばかり、かあ。

帰り道、だだ遅れの電車の中でふとクリックした携帯の事件ニュースに息が止まるほど驚愕。ありえへん…嘘だと言ってくれー。いくら世界は取り返しのつかないものだって、そんな「つかなさ」ってあるかあ!?

夜中過ぎまで関係筋とやり取りし、多少は落ち着いたものの、あまりのやりきれなさによく眠れず。

 

2009年12月11日

初参戦

最近やたらと「ジョシカク(=女子総合格闘技)がキテる!」と耳にするもんですから、一度は生で観ておかねばと思ってましたら、12月にJEWELS6が開催されるとのこと。よし行くぜ!もろもろ師匠にご指南いただき、チケットはメインイベントに出場の石岡沙織選手から直接購入させて頂きました。

ざーざー降りのFACE新宿前にて友人(雨女さん)発見。受付にて無事にチケットを受け取り、物販をのぞいておりますと、バッチ&ビラ配りをしている二人組が目に入りました。フジメグさん(本日は不出場)です。意外とちっちゃい人なんですね。この人が秒殺女王さんですか!物販は初回記念ということで、石岡Tシャツを購入。

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「選手入場」(代表して石岡選手が挨拶中)

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「胃が痛い~」と訴える石岡さん

第1試合
山田よう子×MIYOKO
スウェーデン出身だって!という興奮をよそに、試合は東京都出身の山田選手があっさり判定勝ち。

第2試合
井上由美子×深岬パトラ
やたらと観客席から具体的な指示が飛ぶなぁと思ってみれば、石岡選手でした。余裕ですやん。これまた深岬さん判定勝ち。

第3試合
金子真理×富田里奈
富田選手のセコンドにはフジメグ選手。

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身長差のある戦いでしたが(公称では150cmと166cm)、富田選手は高身長を持て余す感じで、終始金子選手にもぐりこまれ、戦いの勘所を押さえられたという感じ。伸びシロありそうだし、強くなりそうなんだけどなあ、富田選手。てなわけで、金子選手が地味に堅実に復帰戦勝利。

第4試合
杉山しずか×尾関煌

遠目に綾瀬はるか×森山中といったビジュアルでは圧倒的に有利な杉山選手でしたが、なかなかの苦戦。なんとか判定勝ちはおさめたものの、試合直後から、かなーり納得いってない表情でしたね。

第5試合
森居知子×アレクサンドラ・サンチェス
本日唯一といってもいい圧勝試合。いやー強かった。ものすごくキレイな流れの試合でしたね。

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お連れさんが、このTシャツを異様に欲しがってました。

第6試合
長野美香×鹿児島陽子
長野選手が腕ひしぎ十字固めにて勝利

第7試合
小寺麻美×石川菊代
なかなかアグレッシブな石川選手は面白かったけど、小寺選手勝利

第8試合
朱里×ASAKO

これ目当ての方も多かったようで、ハッスル出身の朱里がつれてきたお客さんなのかな。まぁ今日一番の盛り上がりでしたかな。試合の方も意外とハデで面白かったっすよ。キックボクシングみたいな感じ?

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メインイベント
石岡沙織×サリー・クラムディア

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ちょいと消化不良な終わり方になってしまいました。レフェリーストップだったんですけど、相手選手が納得してなかったんですよね。大会の趣旨から言って、石岡選手勝利じゃないと困るでしょうし、まあ本番は来年か。

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「次回はリングにて」

 

カクシン

12月だというのに朝から雨がざばざば。バスも飛行機も遅れながら東京へやってきました。京急で東銀座に直行。

〇さよなら歌舞伎座十二月大歌舞伎

こと12月に限っては京都南座の顔見世がありますから、こちらの歌舞伎座は多少神無月的な気がしなくもないのですが、やっぱりねえ、宮藤さんの新作となりゃ観たいじゃないですか。たっかいチケットを奮発しました。

会場に着いたのは一幕目が終わっての休憩中で、なんとか二幕目には間に合ったのですが、いやぁやられました。演目ではなく、となりのおばちゃん'sにです。四六時中紙袋やビニール袋をゴソゴソするわ、上演中にイヤホンガイドの感想を口に出して述べ合うわ。もう散々で、たまりかねた前のお客さんが「ちょっと静かにして下さい」といっても、さほど改める様子はなく、若者のマナー違反がとかく言われますけど、中高年のマナー違反もなかなかなものですよ。
あ、肝心のお芝居はですね。後ろに座ってた方の「お染(=孝太郎さん)がもう少し美人だったらねえ」という感想に私も一票。福助さんは相変わらず妙に上手かったです。

有名な「身替座禅」は三津五郎さんの「山ノ神」がなんだか松坂慶子さんみたいでしたわ(良かったですよ)。

お芝居が終わって、居るよねぇこういう奥さん・・・なんて考えてたら、例の迷惑おばちゃんの声が何とはなしに耳に入ってきました。

「歌舞伎で静かにしろなんていうのは地方モンだよ。江戸っ子は黙ってなんか見ないもんだ」

うっわー、久々なかなかパンチの効いたお言葉。そっと横を見てみると、ありゃまイケズそうなお顔。つかもうその言葉だけで江戸っ子失格なんじゃね?そりゃ「ひたすら黙って観ろ」とまでは申しませんけど、野崎村って悲恋ものですし、べらべらお茶の間トークしながら観るものではないでしょうに。口には出しませんでしたけど・・・。

そうこうするうちに昼席のトリ、宮藤さんの新作「大江戸りびんぐでっど」が始まりました。平日昼間でお客さんも比較的高齢の方が多かったせいもあるでしょう。最初はぼちぼちと笑いも湧いてたんですが、途中からはそのアバンギャルドさに引きまくり、終盤のキモに至ってはついて行けなくなるお客さん多数といった印象でした。

なんせステージでは「ええじゃないか」のノリで「りびんぐでっど♪りびんぐでっど♪(=生ける屍)」って三階さんたちを含めた役者さんたちが踊り続けてんですからね。観客も演者も歌舞伎そのものも人生も、意識しなきゃ生ける屍になっちゃうよってことなのかなー、なんて、でもそれをしみじみ訴えないのがクドカン流。身につまされもしましたが、どこか勇気が湧いてくるような作品でもありました。「分からない」で片付けられちゃうのは勿体無いなあ。

実は前半の作品ではなんとなく現実のことを考えながら見てたんですけど、宮藤さんのは何時の間にか芝居に没頭してました。歌舞伎も原点は同じなんじゃないでしょうか。「この演目は〇〇さんやら□□さんやらで何回も観たよ」などと得意げに語るベテランさんのためだけの歌舞伎は、形式美を通り越してどこか本質から乖離したものにもなりかねない。現状に満足することなく動き続ける勘三郎さん(だけじゃないけど、明らかにその代表格)ってのはやっぱりエライなあと思うのです。

いいものみました。

 

2009年10月17日

ではまた

ずいぶん前に録画していたNHKの「SONGS」椎名林檎×松尾スズキ対談を見た後、大阪へ。なにやら多々アクシデントに見舞われつつも、向かった先はもちろん円形劇場。「サッちゃんの明日」観劇二回目です。
センターブロックの良席だったのですが、前に座った男性二人組がドンとした人たちだったこともあり、少々見づらい場面がありました。前回の脳内映像による補完で乗り切りましたけど、せめて前後の座席はズラして並べてほしかったですね。

今回の作品は主人公の鈴木蘭々演じる蕎麦屋の娘「サッちゃん」をこれでもかと不幸が襲いまくるお話ですが、下町人情と麻薬そして身体障害といったテーマがわりあいリアルに描かれるあたり、どこか「大人計画」初期の香りがうっすら漂う作りでした。朝ドラ設定も松尾さんにかかるとこうなりますか。ギリギリの線を踏み越えちゃった人たちと留まる人たちとが織り成す世界には生活と笑いとエロがありました。いやあ面白かった。

台詞、いや物語全体としてはもう一息突っ込んで欲しかった気持ちがなくもなかったんですが、そこまで何でもかんでも作者(=松尾さん)に求めてしまうのは無責任なのかもしれず、そっから先は自分で考えろよということなのかなと、今回のカーテンコールなしの理由はその辺に持っていってみました。個人的にしつこいカーテンコールは嫌いなので(特に大阪はひどい)まったく問題はなかったのですが。

とにかく役者さんが上手かったんで、それだけでも見飽きませんでしたね。特に家納ジュンコさん、初めて観たんですが、レトロ感と動きの達者さがたまりません(いかにも松尾さん好きそうな女優さんだ)。小松さんのインテリお祖母ちゃん役も板につきすぎでしたし、うーん、サモアリナンズって実は凄い劇団やったんでしょうか。

大人計画の役者さんたちはもう安心しっ放しの腕前なんですが、それにしても皆川さん、えらいこと美味しい台詞持って行かはりましたね。まさか皆川さんに感動させられる日が来ようとは。松尾さんも良い味の役でしたし、ああいう芝居が出来るのは楽しいんだろうなあ。

これにて手持ちの芝居チケットはなくなりました。やっぱり阿佐スパの新作は観るべきかなあ。もしも上京したくなるほどVリーグが楽しくなるようであれば、セットにしますかね。

*****

観劇後、チケットを取っていただいた会社の元先輩と一緒に所用を片付けるべく、日本一長い某商店街を歩いていると、向こうから歩いてくる人がどうも妹の旦那に似ています。(名古屋在住なので)まさかと思いましたが、他人の空似というにはあまりに似過ぎです。接近したところ・・・やっぱり似てます・・・つか本人でした。なんでこんなとこに!?

声が小さい人なんで、その時はイマイチよく聞き取れなかったのですが、後から来た妹のメールによると会社の同期会で来ていたのだとか。いやあ偶然に偶然が重なることってあるんですね。ビックリでしたわ。

ビール飲んでちょっと食べてグチこぼし。相変わらず記憶力のいい先輩です。うちの妹の「うでしろ」事件なんて、私もすっかり忘れてましたよ。
(※「ビーグル犬」という本を読んでいた、当時大学生だった妹が「ビーグル犬は“うでしろ”って書いてあるよ。確かに腕、白いよね」…妹よ、それは「わんぱく」だ、というネタ。確かにビーグルの腕と尻尾は白いんですが)

ああ名残惜しいですが、私は練習へ行かねばなりません・・・すでに無断遅刻ですが・・・

*****

いよいよ明日はEngelholm初戦ですね。日本時間だと夜中の12時スタートか。あぁ行きたかったなー。TV*Starさんのパスワードが分からず苦闘。何なんだこれは。

 

2009年9月22日

キノコと焼き鳥

夜更かしやら何やらが積もりに積もり、起きたのは朝10時を回った頃でした。しばらくして机上のケータイが点灯しているのが目に入りましたので開けてみると、チェロの師匠からのメールが数件・・・ん!?
なんと明日のはずのレッスンを今日と思ってらっしゃる模様です。一気に目が覚め、大慌てで連絡。こんなことになってはいかんと念入りに日付確認したはずなのに、いったいどこで食い違いが生じたのでしょうか。

ひとまずレッスンは明日に延期となり、私にとっては延期でもなんでもないのですが、ますますもって怪しい出来ではマズイ。冷や汗かきながらガシガシと練習したのでした。

*****

前々から一度観てみたかった「珍しいキノコ舞踊団」公演がなぜだか神戸であるということで、夕方になって新開地へ。

荒れ地に浮かぶオシャレ建物KAVCに集ったお客さんたちは小劇場系の客層かと思いきや、どうも違いますね。全体的にふわふわしたオシャレさん多し。ロハス?生成り?皆さん「かもめ食堂」大好き!そうな感じであります。

公演内容はといいますと、私、ダンスの入った芝居を観るのは大好きなんですが、ここのダンスは私が思い描くダンスのイメージとはちょっと違ってまして、日常動作の延長をゆるりと身体表現してらっしゃる。動きはゆっくりでも運動量や筋肉のつき方は凄いんだなーとか、可愛いお洋服だとか、目を引く要素もあるにはあったんですが、何度か集中力が切れかけました。やっぱ目に付くのは全体で活発に動くシーンでして、でもそれってこの団体が目指す所じゃないよね。うーんよくわかりませんでした。

段取りイマイチのアフタートークを経て、夕飯&飲みへ。新開地と言えばココでしょう的な焼き鳥屋さんに行ったのですが、あれえ、この建物、見覚えありますよ。私が小学生のとき父親に連れられてきて、生まれて初めて「すずめ」を食べた焼き鳥屋さんじゃん!(実際そうだったみたいです)今日はすずめもうずらも食べられませんでしたけど、タレ主体の焼き鳥はなかなか新鮮で美味しく、そして話題はスウェーデンへ。いかにスウェーデン移籍が素晴らしいことなのかを語っていただいたのですが、あいにくと世界規模でのスポーツ知識を持ち合わせていない私ですので、半分ほどしか理解できず。でも、贔屓選手をホメられて喜ばないファンはおりません。気分良い会話でありました。

デカい元町エビスで飲み追加後、帰宅。

 

2009年8月29日

折り返し点

トルコ時間が流れるトルコ料理屋でランチをとった後、急ぎ東京芸術劇場へ向かいますと、入り口でまたも後輩とバッタリ。そもそもこのチケットは彼女に手配してもらったものですが、今回もまた超良席でありました。多謝多謝。

「ザ・ダイバー」
作・演出:野田秀樹
出演:大竹しのぶ、渡辺いっけい、北村有起哉、野田秀樹

午前中の映画につづいてのハシゴということでアタマが持つかどうか心配でしたが、よりによって舞台は能表現から始まりました。ひーっ、静かだわ暗いわ、眠くなったらどうしましょう。しかし、そこは野田さんです。物語はぐんぐんと進み、エンターテイメント要素もしっかりと盛り込まれており、助かりました。芸達者な4人が織り成すアンサンブルはどこまでも自由で、紙袋と扇子そして能面が表紙の本といった小道具を色んなものに見立てる様なども多彩(扇子が電話になったり車のハンドルになったり、時には宅配ピザになったりする)。見飽きなかったです。

源氏物語の女御たちが次々と取り憑くような役どころの大竹しのぶさんはちょっと既視感がないでもありませんでしたが、かといって誰もが出来る役ではありませんし、男優3人の動きの美しさと面白さといったら言いようもなく(とくに野田さんの女役が絶品でした)これぞ舞台!という醍醐味満載。とくに有起哉さんがカッコ良かったなあ。「あの」3人と対等に渡り合っているだけでも驚きなのに、今回はスーツ姿もピシッと決まり、光源氏的なシティボーイっぷりも妙にハマってました。

作品の解釈はパンフの大江健三郎×野田秀樹対談にお任せするとしまして(「頭が良いってこういうことか」と芯から痛感させられる内容でしたわ)私もこれから脚本を読むつもりですが、源氏物語に疎い人間がどこまで理解できるのか。楽しみなような怖いような。やっぱり源氏物語を読む方が先かなあ。

ここ最近の野田作品には珍しく救いのあるラストに少しだけホッとしながら芸術劇場を後にし、池袋駅へとひた走りました。

 

2009年8月28日

欲求不満

東京に来ました。
ファイナル以来ですから、およそ4ヶ月ぶりでしょうか。新幹線からは富士山もきれいに見えましたよ。ただ、今年の関東は涼しいと聞いていたのに...暑いやん!

大荷物を抱え、ひとまず父親宅へ。持参のファブリーズをシュシュッとやりながら掃除をし、冷蔵庫の発泡酒を仕方なく飲みつつ「相棒」再放送を鑑賞。流れで土曜サスペンスの再放送も。東京まで来て何やってるんですかね私は。
さあドラマが終わりましたのでお出かけですよ。

銀座でうろうろとチケットぴあを探し、明日の公演チケットを発券完了。いつもながらにギリギリですが、まあ出来りゃいいのです。ちょっと焦ったけどね。そのままちょいと寄り道しようかとも思いましたが、迷うと厄介なのでひとまず目的地であるテアトル銀座へ。入り口でバッタリと会社の後輩と遭遇。同じ回だということは知っていましたが、この時間に会うとはお互い用心深さが同じだったということやね。強引にお誘いした友人も無事登場。ホッ。

パルコ・プロデュース「斎藤幸子」

作:鈴木 聡
演出:河原雅彦

出演:斉藤由貴,粟根まこと,千葉雅子,明星真由美,中山祐一朗,松村 武,弘中麻紀,小林健一,鬼頭真也,伊藤正之,柳家喬太郎,きたろう

"もんじゃ焼"屋が軒を連ねる東京の下町・月島。
もんじゃ焼屋「さいとう」の次女・幸子は、ちょっとピントがずれてはいるが、元気と美貌がとりえの高校生。店主の洋介は、妻を亡くし男手ひとつで娘たちを育てている。「さいとう」の隣は、もんじゃ焼屋「富ちゃん」。和夫と健一郎という親子で営んでいる。近所に住むソープ嬢の美奈子を幸子は"師匠"と慕っている。タロット占いから姓名判断まで、その占いはプロ級である。美奈子によると「斎藤幸子」は画数が悪いらしい。ゲージツ家肌でアーティストとしての才能に溢れた姉・悦子に、どんな恋愛にも満たされないといった心情を吐露する幸子。そんな幸子の前に、高校の担任で音楽教師、澤渡が現れる。「幸せとは僕といることだ」の一言に魅せられ、駆け落ちを決心する幸子。阻止しようとやって来た教頭の村木をはじめ、近所を巻き込んでの大騒ぎとなるのだが、二人は大阪へ行ってしまう・・・。

*****
鈴木聡さんはともかく、河原さんがとっても苦手なワタシがこれを観ることにしたのは、ひとえに主演の斉藤さん目当てだったからですが(あと明星さんと千葉さんも・・・女優ばっかだね)いやー、やっぱ斉藤さん良かったです。フツウにかわいかったですね。さすがはトップアイドル出身。客席にも彼女のファンらしき男性客がちらほら・・・ロビーではCDも売られてました。なんてなことはさておき、コメディエンヌとして才能ある女優さんの使い方としてこの作品は正直物足りなかったです。

脚本を読んでいないので、演出がどこまで脚本に忠実なのかは分かりませんけど、何事もすべて「下町人情」で片付け赦されてしまうというストーリーは私には疑問の嵐でしたし、ともすると全員でアクションなんてな古臭さにもちょっぴり辟易。銀座の劇場ということで客層も幅広く、「そこでウケるの?」というところで笑いも湧いていたので、それはそれでよかったんでしょうけどね、この内容で休憩込みとはいえ3時間は長かったです。とくに休憩明けの「もんじゃ焼き講座」が余計でした。スポンサーの関係で外せなかったそうですが、これと休憩と、あと着ぐるみシーンとか、あれやこれやを縮めれば2時間半以内で収まったでしょうに。少しでも早く終わらせて、月島に行こうと思わせた方がいいんじゃないのかなあと余計な一言。

役者さんは皆さん良かったですよ。粟根さんにも珍しくイライラしなかったし(なぜそこまでモテるのかという説得力は若干なかったけど)明星さんは相変わらず芸達者さんでしたしね。しかし伊藤正之さんが端役というのもこれまたなんやかなあですし、楽しみにしていた鬼頭さんはもっと普通の役で観たかったな。正直あの役ではなんとも言いようがないですもんね。


数寄屋橋ニュートーキョーにてサクサクと飲み、帰宅。

 

2009年6月13日

メカロックっ

午後から大阪へ。

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すっかり諦めていたチケットを取ってくれた後輩ちゃん(ありがとー!)と会場に入ってみると、意外や良席なのに驚きそして興奮。

大パルコ人 メカロックオペラ
R2C2
〜サイボーグなのでバンド辞めます!〜

作・演出: 宮藤官九郎
音楽: 富澤タク
出演: 阿部サダヲ、森山未來、三宅弘城、皆川猿時、近藤公園、平岩紙、宮藤官九郎、片桐はいり、松田龍平

例によってバカバカしさあふれるタイトルとは裏腹に、中身はいたって・・・バカバカしい笑いが散りばめられながらも、数々の伏線は見事ラストシーンに結実。ゾクッとしたなあもう。これほど衝動的に拍手する気持ちが湧いたのは久しぶりのことでした。2時間強の空間にこれだけの内容を盛り込み、まとめ上げた宮藤さんの能力には感嘆を通り越して畏怖の念すら覚えました。

脚本だけでも面白いのに、きらめくライトに鳴り響くロック、ダイナミックなダンスときては...もはや反則やんとさえ言いたくなるズルさ。観たいものがありすぎて、何度焦点が合わなくなったことか。

俳優さんも良かったですね。エンターテイナー阿部さんは言わずもがな、森山さんがえらいこと上手くなっておられて驚きました。「メタルマクベス」や「キャバレー」の時はまだ周りに助けられ、そして食われている感がありましたけど、もうそんな面影はなかったですね。そして、そこに絶妙なポジションで絡む片桐さんと皆川さんの表現力の素晴らしさといったら!これぞ舞台という醍醐味と幸福な満腹感を抱かせていただきました。

あー面白かった!

 

2009年5月23日

演技さまざま

チェロをちょいちょいと練習したのち大阪は京橋へ。
手っ取り早く小腹を満足させようとミスドに入ったところ、レジが一向に進まずイライライライラしましたが、甘々ドーナツを食べて、マスクをつけてシアターBRAVA!に入りました。

ナイロン100℃33rd SESSION
「神様とその他の変種」
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山イヌコ、みのすけ、峯村リエ、大倉孝二、廣川三憲、長田奈麻、藤田秀世、植木夏十
(ゲスト)水野美紀、山内圭哉、山崎一

序盤いきなり廣川さん演じる浮浪者(=神様)による独白タイムに引いていたところに、ゲスト水野さんが登場。うー、KERA台詞をこなすにはちょいキビシイ力量です。うわー大丈夫かいなというところで峯村さん登場。ああ絶品そして安心。全員による主題歌コーラスにゾクゾク。タイトルクレジットはもはや当然のカッコよさ。これは期待できそう!

アンバランスな家族が繰り広げるナンセンスな言動がどんどん悲劇へと転じて行く展開に引き込まれまくったんですが、出ましたどんでん返し、いや、どんでん潰し。「犯さん哉」パターンですね。神の存在と向き合いたくなかったんだろうか。海岸で砂のお城を築き上げて、これから天守閣というところでザッパーンと水をかけられたような気分でした。実際に水(=雨)も降りましたけど、水に流しておしまいってのはねぇ。余韻の処理は観客の裁量に任せて、KERAさんにはもうちょっと照れずに「END」をつけてほしかったです。

役者さんは予想通りの素晴らしさでしたけど、ゲストお二方は少々キツかったかなぁ。悪くはないんですが、彼らによって台詞がさらに面白くはならないのですよねえ。これは私の偏見ですが、水野さんや山内さんって(特にビジュアル面において)カバーしなくちゃいけない短所が少ない、その世界においては恵まれた人たちじゃないですか。だからかどうかは知りませんが、水野さんからは「私こんなに頑張ってる」オーラが、そして山内さんに至っては「俺って面白いでしょ」オーラが出続けちゃってるんですよ。山内さんについては、ウケ過ぎるファンの存在も気になったんですが、まあとにかく美人・二枚目には大根が多く、良い選手はケガ持ちが多いという(私の)定説がまたも(私の中で)再確認されてしまったといったところでしょうか。
そうそう、今回初見の猪岐英人さん。パンフによると研究生とありますが、切れ味が良くて、これから出演シーンが増えそうな役者さんだなーと。私がこんなことを言うのは珍しいんですが、まあ単に姿形が好みだったということで。

とまぁなんのかんの文句はつけながらも、良い役者から発されるステキなセリフを見聞きするほど楽しいものはないわけで、充実した3時間でした。カーテンコールでは締め切り大丈夫なんかい?のKERAさんもマスクをつけて登場。皆さん大喜びでありました。

*****

軽くごはんでもと、前回「わが闇」を見逃した後に出かけた白頭園さんへ。
ハートランド旨い!と喜びながら、定番を。

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「ナムル10種盛り」

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「刺身盛り合わせ」

今回初めて食べておいしかったのはピビンバ。どうやらチヂミやピビンバなどの火を通す系のお料理はお母さん(オモニ?)がご担当の模様ですが、ああもっといろいろ食べてみたいなー。

偶然横に座った二人がこれまたナイロン帰りさんらしく、思わず耳がピクピクするような会話を繰り広げまくられるもんですから、私、めちゃめちゃ疲れてしまいました。食べ物屋で理想的な客を演じるのは難しいものです。

終電帰宅。

 

2009年2月14日

ダブルヘッダー

試合が思いのほか早く終わってしまいましたので、第二試合を少しばかり見たのち、大阪へと出向きました。

○オリガト・プラスティコVOL4.「しとやかな獣(けだもの)」

強欲な一家としたたかな悪女の壮絶バトル−
川島雄三監督の名作に鬼才・KERAが挑戦!

オリガト・プラスティコは私と広岡由里子のユニットであり、この度とりあげる「しとやかな獣」は、1962年の正月映画として公開され、大コケした、川島雄三監督最後から二番目の超傑作映画である。これまでに(私が知っているだけでも)二度ほど舞台化されている。団地の一室を舞台に、呆れるにも程がある四人家族と、彼らを取り巻くクズ人間どもが織り成す真性ブラック・コメディ。既にこんなにも面白い脚本が用意され、加えてキャストがご覧の通りとくれば、公演の成功はこれ、約束されたも同じじゃないか。

作:新藤兼人
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
キャスト:浅野和之、緒川たまき、広岡由里子、近藤公園、すほうれいこ、
佐藤誓、大河内浩、玉置孝匡、山本剛史、吉添文子

*****
初演(映画)の監督は川島さんだったのですね。皆さん大絶賛の「幕末太陽傳」は一度見なきゃと思いながら何年経つことやら・・・

さてさて、私の好きなオリガトシリーズも今回で4作目。大阪公演は今日1日だけということもあり、会場は満席。5列目センターという好位置で満喫させていただきました。

座長の広岡さんはジワジワ笑いのセンスが不気味なほどある方なんで、安心して見ていられます。緒川さんは美しいことこの上なし。立ち姿はもちろん、声も良いのですよね。いい目の保養になりましたわ〜。

という女優陣に比べると、男優陣はちょっと弱かったかな。全体的にあっさりめの演出だったうえに、メイン男優が浅野さんと近藤くんという小器用タイプ(しかも親子役)だったため、物語の強さが弱まった感がありました。特に近藤さんは個人的にはちょいと苦手なトーンの方なので、緒川さんとの絡みは物足りなかったっすね。話が面白かっただけに、ちと残念でした。

カーテンコールにはKERAさんも登場。こんなとこに来てていいの?という感じですが(超遅筆のくせに超多忙)お隣の後輩がキャッキャと喜んでました。「演出の・・・長塚圭史です」てなしょーもないことを2回ほど言っておられましたが、和やかな雰囲気のもとで公演終了。みなさまおつかれさまでした。

やっぱり生観劇はいいですねぇ。手持ちのチケットがなくなっちゃったんで新しいのを物色したいところですが、その前に未見の舞台DVDを少しでも片付けねばならんのですよな。ふう。

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